発酵食品と歴史

発酵食品の起源は非常に古く、果物が自然発酵してできた「猿酒」がその始まりだと伝えられていますが、微生物の関与が証明されたのは、1861年、フランスの科学者ルイ・パスツールの著書「自然発生説の検討」によるものです。この発表がきっかけとなり、発酵と微生物の関係が解明されました。

発酵の自然現象説

発酵は長い間、「自然現象」として考えられていました。それ以前、アリストテレスが提唱した「自然発生説」によって、生命は神の意志による自然の現象と信じられていました。1590年に顕微鏡が発明され、オランダの顕微鏡学者アントワーヌ・ヴァン・レーウェンフックやイタリアの生物学者ラザロ・スパランツァーニなどが発酵に関する実験を行い、微生物が発酵現象に関与している可能性を示唆していましたが、確証は得られませんでした。

パスツールによる発酵の解明

その後、フランスの科学者ルイ・パスツールが発酵の原因を解明する重要な実験を行います。彼は「白鳥の首フラスコ」という特殊なフラスコを使い、空気は入ることができても微生物は入らない環境を作り出しました。これにより、発酵は自然発生する現象ではなく、空気中に存在する微生物が関与していることが証明されました。

さらに、パスツールはアルコール発酵や乳酸発酵など、異なる発酵の種類についても研究し、関与する微生物によって発酵の違いがあることを明らかにしました。彼はまた、ワインが腐敗する原因として雑菌の増殖を特定し、これを防ぐためにワインを加熱し、雑菌を死滅させる方法(低温殺菌法)を考案しました。この方法は、後に「パスチャライズ殺菌法」として知られるようになり、牛乳などの殺菌法として広く使用されるようになりました。

日本の発酵技術と低温殺菌法

興味深いことに、パスツールが低温殺菌法を発案する約300年前、日本では既に日本酒の発酵の進行を止めるために低温殺菌技術が用いられていました。しかし、その発案者や学術的な証拠は残されていないため、詳細は不明のままです。ただし、1500年代にはすでにその技術が使われていたと考えられています。

日本に顕微鏡が伝わったのは1765年頃の江戸時代中期であり、発酵技術は世界的にも非常に先進的なものであったといえます。日本では平安時代から発酵技術が存在し、江戸時代には発酵食品が確立されたとされています。

※こちらの記事は note に掲載しております。

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