発酵食品の魅力

保存技術が発達していなかった時代、発酵は食材を保存するための知恵でもありました。日本の代表的な発酵食品である漬物は、野菜が取れない季節や、海が遠い地域で食材を確保するために発展してきました。熟鮓もまた、貴重なタンパク源を保存するための知恵として受け継がれてきました。

日本では、主に秋から冬にかけて食材を保存するために発酵食品が作られてきました。その結果、発酵菌が生み出す酸が他の腐敗菌を寄せ付けることなく、食材が本来持つ味わいに、発酵の持つ旨みや風味、栄養価を加え、より美味しく変化させていったのです。

発酵による保存性の向上はもちろん、食材を無駄にせず活用するエコロジーな側面もあります。現代の冷蔵技術が発達した時代でも、発酵の環境に優しい技術はお手本になる部分が多いと言えるでしょう。

発酵食品は、微生物の働きによって人間に有益な効果をもたらします。具体的な効果は「発酵食品の五大効果」と呼ばれる5つのポイントでまとめられています。

発酵食品の五大効果

  1. 保存性が高まる 発酵食品には発酵菌が繁殖し、その勢力が保たれていることで、腐敗菌の増殖が抑えられます。乳酸が生成されることにより、食材に酸のバリアが張られ、腐敗菌を寄せ付けません。これにより、長期間保存できるようになります。
  2. 栄養価が向上する 発酵の過程で、発酵菌の排泄物や代謝物である酵素やアミノ酸、ビタミン類が生成され、発酵前よりも栄養価が高くなります。最近の研究では、発酵食品ががんの抑制や成人病予防など、現代人が抱える病気への予防効果を持つこともわかってきました。
  3. 美味しさがアップする 発酵菌の働きにより、でんぷんから「糖」や「うまみ」を引き出したり、香りや風味が加わり、食品がより美味しくなります。発酵によって引き出される自然な旨みや香りは、料理の味わいを豊かにします。
  4. 吸収率が向上する 発酵によって微生物が生成する酵素の働きにより、タンパク質やでんぷんが分解され、栄養素が吸収されやすくなります。これにより胃腸の負担も軽減され、消化吸収がスムーズになります。
  5. 腸内環境が改善される 発酵食品には、腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖が豊富に含まれています。これにより腸内環境が改善され、便通が良くなったり、腸内フローラが整ったりします。また、発酵食品に含まれる発酵菌(微生物)も腸内細菌のエサとなり、腸内フローラのバランスを整えるのに役立ちます。

発酵食品は、ただ食材を保存するだけでなく、その風味や味わいを豊かにしたり、栄養価を高めたりする効果があります。普段何気なくスーパーで購入する商品にも、知らず知らずのうちに発酵食品が含まれていることもあるかもしれません。その特性を知ることで、発酵食品がもっと身近に感じられることでしょう。

日本の各地域では、その地域特有の気候や食文化を反映した伝統的な発酵食品が今でも作られています。しかし、伝承する人材が不足し、衰退しつつあるのも事実です。中には消えつつある郷土料理も少なくありません。

もし旅行に出かける際には、その土地の特産品である発酵食品を積極的に取り入れ、その土地にまつわる歴史や文化を感じながら味わうのも良いかもしれません。地元の食文化を知ることで、その土地に対する理解が深まりますし、より一層味わい深い食体験ができることでしょう。

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