発酵食品を語る上で欠かせない存在、それが「麹菌」です。
麹とは
麹菌はカビの仲間で、米麹から分離したカビであり、現在では麹を作るカビのみを麹菌と呼んでいます。
「麹」とは、米、麦、豆などの穀物を蒸したものに麹菌を繁殖させたものを指します。現在、よく耳にする「麹」といえば、ほとんどが「米麹」を指すことが多いです。
米麹は、蒸した米に麹菌を繁殖させたもので、清酒、味噌、甘酒、みりん、焼酎、泡盛などに使われています。その他に「麦麹」や「豆麹」もあり、それぞれ麦味噌や醤油、豆味噌などに使用されます。
発酵食品に使われる麹の種類
- 米麹: 白米を蒸して麹菌を繁殖させたもので、最も一般的な麹です。
- 豆麹: 大豆を蒸して麹菌を繁殖させたもので、豆味噌の材料になります。
- 麦麹: 押し麦や丸麦を蒸して麹菌を繁殖させたもので、麦味噌に使用されます。
- 醤油麹: 蒸し大豆と焙煎した麦に麹菌を繁殖させたもので、醤油の原料となります。
麹菌の種類
日本には約250種類以上の麹菌が存在しており、その多くは日本特有のものです。中でも、アスペルギルス属の3種は日本醸造学会により2006年に「国菌」と定められました。
- アスペルギルス・オリゼー(黄麹菌): 清酒、みりん、味噌、醤油、酢などに使用されます。
- アスペルギルス・ソーエ: 醤油などに使用されます。
- アスペルギルス・アワモリ(現在:アスペルギルス・ルーチェンシス): 泡盛、焼酎に使用されます。
その他、たまり醤油や焼酎、鰹節に使われる麹菌も存在し、アジア圏では日本以外でも環境が合えば生育します。しかし、アスペルギルス属での発酵食文化は日本独自のものであり、これが「国菌」に選ばれた理由です。
麹菌の特徴
麹菌は米を分解する際に、人体に有益な成分を生み出します。麹菌は好気性であり、空気のある場所で繁殖します。適温は28℃~32℃で、最も活発に生育しますが、耐熱性は弱く、45℃を超えると菌体は死滅します。しかし、菌の胞子は80℃前後まで生き続けることができます。
麹菌は微酸性の環境を好み、強酸性には耐えられません。また、耐塩性もなく、2%程の塩分濃度で死滅してしまいます。
麹菌は発酵食品の生産において、菌体そのものよりも、生成する酵素の役割が重要視されています。麹菌が生成する酵素は100種類以上にものぼり、発酵食を作る際にはこの酵素が大きな役割を果たします。代表的な酵素としては、以下のようなものがあります:
- アミラーゼ(でんぷん分解酵素): 米やいもなどのデンプンを糖に変えます。
- プロテアーゼ(タンパク質分解酵素): 大豆などのタンパク質をアミノ酸などのうまみ成分に変えます。
- 脂肪分解酵素: 脂肪を分解する役割を持ちます。
麹菌が死滅した後でも、生成された酵素の分解作用は持続し、発酵の過程が続きます。
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