発酵食品に使われる「乳酸菌」
発酵食品に使われる菌の中で、私たちの食生活に最も身近に関わっているのが「乳酸菌」でしょう。
乳酸菌は、糖類を分解して乳酸を生成する真正細菌類の総称で、形は棒状の桿菌(かんきん)や丸い形の球菌(きゅうきん)などがあり、その分類は多くの属にわたります。
乳酸菌の特徴と役割
乳酸菌が生成する乳酸は、pH値が2.0~2.5と非常に低いため、酸性環境を作り出します。この酸性環境によって、食中毒菌や腐敗菌といった人間にとって有害な微生物が繁殖できなくなります。つまり、乳酸菌が関与した発酵食品(ヨーグルトや漬物など)は保存性が高まり、長期間保存することが可能になります。
乳酸菌の分類
乳酸菌は非常に多くの種類があり、現在では約400種類以上が正式に認められています。乳酸菌は、形状や発酵形式によって分類されます。
- 形状による分類
- ラクトバチルス属(乳酸桿菌)は、ヨーグルトでよく知られる乳酸菌で、人や動物の腸内にも多く生息しています。また、植物の表面にも生息しており、漬物の発酵にも関与します。
- ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)は、腸内で乳酸を生成しますが、空気がない大腸にのみ存在する偏性嫌気性菌です。
乳酸菌とは異なるカテゴリーで語られることも多いビフィズス菌ですが、近年は乳酸菌として語られることも増えました。ヨーグルトなどには亜種が使用されることが多いです。
- 発酵形式による分類
- ホモ発酵型乳酸菌: 乳酸のみを生成するもの(例:ラクトバチルス属)
- ヘテロ発酵型乳酸菌: 乳酸と酢酸を生成するもの(例:ビフィズス菌)
乳酸菌の共生と機能性
ヨーグルトなどでは、複数の乳酸菌を組み合わせて使用することが多く、菌同士が共生することでお互いに必要な栄養素を補完し、発酵が進みやすくなります。現在では、乳酸菌の特性を活かした機能性ヨーグルトが各メーカーから販売されており、その機能を求めて選ばれることが増えています。
自家製ヨーグルトを作る場合、使用する種菌によっては、製造環境に特定の菌が繁殖するため、家庭で特定の機能を持ったヨーグルトを作るのは難しい場合もあります。
動物性乳酸菌と植物性乳酸菌
最近よく耳にする「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」は、生育する場所による分類です。生物学的な分類に違いはなく、例えば「ラクトバチルス属」の乳酸菌でも動物性と植物性に分けられます。
生きて腸に届かなくても意味がある
乳酸菌は酸に弱く、自分自身が生成する酸によって死滅することもあります。そのため、ヨーグルトなどを摂取しても、胃酸によって死滅してしまうことがほとんどです。しかし、死滅した乳酸菌でも、腸内の常在菌のエサとなり、腸内フローラを整えるのに役立つことがあります。
生きたまま腸に届いたとしても、その菌が腸内に留まって生育し続けるかどうかははっきりと証明されていません。しかし、乳酸菌の菌体自体が腸内で有益な作用を持つことは確かです。
乳酸菌選びのポイント
乳酸菌はその種類によって特性が異なります。商品を選ぶ際、何を基準に選べばよいのか迷うこともあるかもしれませんが、目的に合った菌や求める機能を持った菌を選ぶことが大切です。自分の体調や目的に合った乳酸菌を選ぶことで、より効果的に発酵食品を取り入れることができるでしょう。
※こちらの記事は note に掲載しております。
